徳島

徳島・美波町の文化財から始まるクラフトビール物語――「日和佐ビール合同会社」代表・熊谷亜未さん

 「日和佐ビール合同会社」代表・熊谷さんと「日和佐日和」の棚橋店長

徳島県南部に位置する海の町・美波町に2025年1月、新しいクラフトビール「日和佐ビール」の醸造所が誕生しました。

醸造所を営むのは、宮城県からこの町にやってきた熊谷亜未さん。なぜ日和佐でビール造りを始めたのか?そこには、この町の魅力を広く伝えたいという熱い思いがありました。

醸造所があるのは国登録有形文化財「谷屋」

「日和佐ビール」で発売されているクラフトビール

「日和佐ビール」の拠点は、美波町日和佐地区。1870年頃に建てられた日本家屋「谷屋(たんにゃ)」の敷地内にある納屋を醸造所として活用しています。

谷屋の敷地内にある「日和佐ビール」の拠点

なぜ国登録有形文化財になっている屋敷に、クラフトビールの醸造所が?さっそく熊谷さんにお話を伺いました。

話をする「日和佐ビール」代表の熊谷さん

もともと首都圏で会社員として、自動車部品の開発部署に勤めていた熊谷さん。
2015年、旅行で訪れた美波町日和佐の星空や海の景色に心を奪われ、この場所が大好きになったそう。

「日和佐ビール」のクラフトビールのラベル

「いつか日和佐に住みたい。できればここで、ものづくりに携わりたい」

そんな思いを抱えつつ毎日を過ごすなか、出会ったのが「日和佐地区でクラフトビールを作る」という地域おこし協力隊の募集。
自分の将来を見つめ直していた熊谷さんにとって、日和佐移住の夢を叶える絶好のチャンスでした。

「日和佐ビール」の店内にて熊谷さんと日和佐ビール

熊谷さんは2022年4月、日和佐地区の地域おこし協力隊として着任。美波町に用意されていた「谷屋」で、ビール醸造所を営む準備にとりかかりました。

「日和佐ビール」の作業場で作業をする熊谷さん

熊谷さん自身も岡山で醸造や販売の研修を受けるなどして、2024年11月に醸造に必要な免許を取得。そうして、2025年1月に本格オープンの時を迎えました。

地元に愛される「日和佐ビール」を目指して

地域の魅力が詰まった「日和佐ビール」

日和佐ビールの特徴は、日和佐町漁協共同組合でくみ上げている地下海水や阿波晩茶など地域ならではの素材を「副原料」として加えていること。熊谷さんは地域の魅力をビールに詰め込んでいるのです(それぞれのおいしさの紹介は、また後で…)。

熊谷さんがデザインした「日和佐ビール」のラベル

スタイリッシュなビールのラベルロゴも、熊谷さん自身がデザイン!「谷屋」2階広間の欄間に施された波の意匠がビールグラスの泡に見立てられていて、とってもオシャレ!フォントも海の町・美波町の水平線と波がモチーフになっているんですよ。

「日和佐ビール」の拠点となっている「谷屋」2階広間の欄間

準備期間中、熊谷さんは町内外のイベントに積極的に出店し、日和佐ビールを広めてきました。出会った人が友人に、その友人がさらに友人に…とつながりが広がり、今では地元の人にとっても馴染み深い存在に。

ビールのラベルを貼る「日和佐ビール」代表・熊谷さん

醸造所が完成したときには、多くの地域の人々がお祝いに駆けつけました。
町外から訪れた友人へのおもてなしや、帰省した家族へのお土産としても日和佐ビールが選ばれるようになり、町の新しい顔として親しまれています。
まさに「人と町をつなぐ一杯」です。

ビールの泡を消すために両手の入れ物に交互にビールを入れる熊谷さん

そうして、日和佐ビールの醸造&各地でのイベント出店を続けつつ、開業1年目の繁忙期となる夏をようやく終えた熊谷さん。

タンクから出来たビールを詰めるケグを持ち上げる熊谷さん

改めて現在の心境について伺うと、ビール造りから販売、事務まで「1人ですべてをやるのは想像以上に大変!」とのこと。

「ビールってものすごく“重い”んです。1回の醸造で作るビールは200~300L。居酒屋によくあるビール樽は1個15Lなので、あれを数十個いつも動かしていると考えてもらえたら(笑)」

話をする「日和佐ビール」代表の熊谷さん

そんな大変さを感じつつも、「これからもこの日和佐ビールを通じて、日和佐の魅力をあちこちへ発信していきたい」と熊谷さん。

「日和佐には素敵なものがたくさんあり、地域の皆さんも広くアピールしたいと思ってらっしゃるのですが、日々のお仕事があるので難しい。だからこそ日和佐ビールを通じて、その魅力を全国へ伝えたいですね」

そう語る熊谷さんの笑顔が印象的でした。

愛でたいPoint!

ビール造りの重労働は、想像しただけで確かにものすごく大変そう…!
ですが、その大変さだけでなく、熊谷さんの日和佐への愛情がお話からビシビシ伝わってきました。日和佐ビールは単なる飲み物ではなく、人と町をつなぐ小さな架け橋なんですね。

国登録有形文化財「谷屋」も味わい深い!

「谷屋」前で「日和佐ビール」を持つ「日和佐ビール」代表・熊谷さん

週末は町内外へのイベント出店に出かけていますが、月1~2回、土曜に醸造所を見学できる日もあるそう。

「日和佐ビール」の外観

国登録有形文化財にも指定された、趣ある「谷屋」で飲む生ビールは格別の一杯…。「日和佐ビールを飲んでみたい」と思ったら、公式SNSをチェック!

日和佐の魅力があふれるアンテナショップ「日和佐日和」

「日和佐日和」の外観

美波町日和佐地区では、いろんなお店で日和佐ビールが販売されています。そのひとつが、アンテナショップ「日和佐日和(ひわさびより)」です!

談笑する「日和佐ビール」の代表・熊谷さんと「日和佐日和」の棚橋店長

棚橋店長は、熊谷さんとは数年来のお友達。イベント出店時代に知り合い、同じ移住者ということもあって意気投合したそう。
「何よりも、日和佐ビールのおいしさが自信を持ってオススメできる一番の理由です」と教えてくれました。

棚橋店長に日和佐ビールのおいしさを教えていただきました!

「日和佐ビール」の『Ocean Saison』

「日和佐ビールを初めて飲む方にオススメなのが、こちらの『Ocean Saison』。副原料に日和佐の地下海水を使用した珍しいビールで、ほのかな塩味と磯の香りを楽しめるすっきりとした味わいです」

「日和佐ビール」の『AWABANCHA Ale』

「徳島らしさをより味わえるのが、『AWABANCHA Ale』。副原料に使った『阿波晩茶』は乳酸菌発酵による後発酵茶で、近年健康効果も高いと注目が集まっています。大地を思わせるどっしりとした香りと癖のある苦みが特徴的な、辛口好きにオススメのビールですよ」

「日和佐日和」で販売されている「日和佐ビール」

この2つ以外にも、時期や季節によってさまざまな限定銘柄が登場!
美波町産の麦芽や柚子を使用した銘柄や、醸造所のある谷屋の庭で採れた梅を使った銘柄など、これらも要チェックです。

「日和佐日和」の店内

他にも、日和佐日和にはこの地に魅了された人々が作るステキなアイテムはたくさん!イベント出店やオンライン通販など、遠方でも楽しめる方法はたくさんあるので、ぜひチェックしてみて。

クラフトビールを通じて出会う、人と町のあたたかなつながり

「日和佐ビール合同会社」代表・熊谷さんと「日和佐日和」の棚橋店長

美波町日和佐地区で広がる日和佐ビールが生んだ縁。笑顔で語り合うお二人の姿が印象的でした。ぜひ足を運んで、あなたと町をつなぐ一杯を楽しみ、あなただけの物語を紡いでください。

日和佐ビール合同会社

マップでみる

遊べるお土産ハウス 日和佐日和

マップでみる

*2025年10月2日時点の情報です。内容は変更となる場合がありますので、最新情報をご確認ください。

うみがめの町・日和佐の歩き方。日和佐は“おいしい”と“楽しい”がいっぱい!の記事はこちらから!

関連記事

SHARE

  • Xでシェア
  • FBでシェア
  • LINEでシェア
#愛でたい四国 をつけて感想をSNSに投稿しよう!
TOPへ戻る