【前編】香川の仏生山でゆるっと旅｜仏生山の森～法然寺周辺を探訪

皆さん、高松市の「仏生山（ぶっしょうざん）」エリアをご存知でしょうか。なんだかお寺がありそうな地名だな～と思いますよね。その通り、「法然寺（ほうねんじ）」というお寺があり、その門前町として栄えた町なのです。

仏生山の魅力は、江戸情緒が残る町並みと、豊かな緑に囲まれた田園風景。歴史的な建物や神社仏閣が静かにたたずむ仏生山エリアには、モダンな地元グルメのお店や面白スポットもあり、ノスタルジックな雰囲気を楽しみたい人にぴったりです。今、注目の「仏生山の森」にも行ってきました！

最寄り駅であることでん仏生山駅に降り立ち、「仏生山ゆるっと旅」のはじまり、はじまり～♪

仏生山観光の起点に！ことでん仏生山駅で電動アシスト自転車をレンタル

仏生山エリアは車で移動するには近過ぎるけれど、徒歩では少し距離があり過ぎるので、自転車で巡るのがちょうどいい感じ。ことでん仏生山駅で電動アシスト自転車を借りて、のんびりポタリング*を楽しんじゃいましょう！

*ポタリング…特に目的を定めず、マイペースに周辺を自転車で散策すること。

まずは自転車をレンタルしに、ことでん仏生山駅へ。レンタサイクルはすべて電動アシスト付きなのがうれしい！ヘルメットも無料で借りることができます。

＜レンタル方法＞
必要なモノ：身分証明書
①好みのカラーの自転車を選ぶ
②駅の窓口に行って申込書に必要事項を記入し、身分証明書を提示する
③3時間分の基本料金と保証金（返却時に返金）を支払う。3時間を超過した場合は、返却時に延長料金を精算する

駅員さんから利用に関する説明を受けたら諸々の手続きは完了。ヘルメットを被っていざ出発！

ちなみにレンタルできる自転車は5台。先着順で予約はできないため、確実に借りたいなら、早めの申し込みがおすすめです。

ここで、駅員さんからお得情報をゲット！

仏生山駅を含む有人駅（5駅）では、ことでんの乗車と仏生山温泉の入浴がセットになった「ことでんおんせん乗車入浴券」を購入することができるとのこと。大変お得なチケットなので、気になる方はWebサイトをチェックしてみてくださいね。

自転車で約3分

仏生山駅すぐ！江戸・明治の風情が漂う通り「お成り街道」

ことでん仏生山駅から東へ向かって「お成り街道」へ。

通り沿いには、江戸・明治期からずっと変わらず商売を続けているお店があるそうです。通りには詳しい説明が書かれた案内看板もたくさんあり、往年のにぎわいが目に浮かぶようですね。

古い家を見上げると…

立派な飾りが！これは「うだち」というそうで、元々は防火用だそう。後に装飾用になり、裕福な家ほど立派なうだちを付けていたのかな？

こんな看板も。

門前町の歴史を伝えるために始まった「仏生山大名行列」。初代高松藩主の松平賴重公が法然寺へ参拝する様子が再現されるそうで、二次元コードを読み込むと、豪華絢爛なシーンを見ることができました。毎年10月に開催されるとのこと。秋に訪れるのも良さそうですね。

自転車で約10分

仏生山「ちきり神社」で健康やおしゃれを祈願

お成り街道を進んでいくと、雌山に突き当たります。ことでん仏生山駅から電動アシスト自転車で10分もかからない距離。

雌山の山頂に鎮座しているのが「ちきり神社」です。ちきり神社に到着した私たちを待ち構えていたのは…

長～い石段！

少したじろぎながらも、頂上にお楽しみがあるというので頑張って上ってみます。そのお楽しみとは、仏生山の町並みや、広大な法然寺の境内を一望できる絶景スポット！

観光地でおなじみのレトロな双眼鏡が設置されていました。これがあったらのぞくしかないでしょ～！高松市街地方面に向かって、仏生山の町並みがきれいに見えました。

ところで気になっていたのが、“ちきり”という名前。“ちきり”って、はて？

 “ちきり”とは、機織りの際に縦糸を巻く部品のことだそう。その昔、ため池の堤を何度改修しても決壊してしまうので、神様に祈願したところ、「ちきりを持って通りかかった娘を人柱にせよ」とお告げが！あわれ、娘はため池の人柱に。そんなかわいそうな乙女を祀っているそうです。なんてこと…（涙）。

娘さんの犠牲のうえで今の仏生山があるのかなと思いをはせながら、お参りを。

ちきり神社の祭神は稚日女命（わかひるめのみこと）で、天照大神の妹であり、大神の御衣織女（衣服を織る女性）との言い伝えもあるそう。健康をはじめ、ファッションや恋愛、安産などにご利益のある女性の神様だそうなので、もっとおしゃれを楽しめますように！と祈願もしちゃいました。

自転車で約3分

高松藩主の菩提寺「法然寺」の見どころ

ちきり神社のすぐ西側にあるのが、歴代高松藩主松平家の菩提（ぼだい）寺である「法然寺」。入り口の総門から一番奥の松平家一族が眠る墓所に至るまでに、極楽浄土への過程を体感できる造りになっているそうです。

境内をしばらく歩くと、いきなり睨みをきかせてくる金剛力士像が！その向こうにちきり神社の上を行く長～い石段が見えるんですけど（汗）。

極楽浄土へと延びる一本道だそう。その脇にあるのが…

じゃーん！立派な五重塔です!!その奥には…

三仏堂（涅槃（ねはん）堂）！ここに有名な「さぬきの寝釈迦（ねしゃか）」が祀られています。

息が上がりつつ、石段を上りきった先で眼下に広がるのは…

まるでご褒美のような眺望です。この美しい伽藍（がらん）配置も法然寺の特長で、さすが殿様肝いりのお寺！境内地全体（法然寺墓地を除く）が「高松藩主松平家墓所」として国の史跡に指定されているのも納得ですね。まさに極楽浄土の眺め！

香川産小麦の麺がおいしい「本格手打ちさぬきうどん 竜雲」

香川といえば、讃岐うどんは絶対に外せない！小腹も空いたし、法然寺の駐車場の一角にある「本格手打ちさぬきうどん 竜雲（以下、竜雲）」へLet’s Go！

石臼びきした香川産小麦「さぬきの夢」の全粒粉をブレンドした小麦粉を、仏生山の食酢醸造所「神崎屋」の麺専用の酢を加えた軟水で練り上げているそう。そのため、麺には美しいツヤがあってコシが強く、まさに讃岐うどんの王道！

さすが、“角”が立っています！

オーダーしたのは「ごまだれつけうどん」！きたきた～♪

地元・伊吹島のいりこに讃岐の白みそをつけだれに使った、竜雲の看板メニューです。最初はそのままつけだれにつけて、途中で温玉を入れて味変。そして締めには、つけだれにごはんを入れてと3通りの食べ方で楽しめるんですよ。

こちらは熱々ジューシーな鶏天がのった「鶏天ぶっかけ」。

肉のうまみたっぷりな鶏もも肉の天ぷらとぶっかけうどんの相性がぴったり。ごちそうさまでした！

自転車で約6分

仏生山で愛され続ける和菓子「徳栄堂」

せっかくやって来たので、仏生山ならではの定番土産がほしい！と探していたところ、見つけたこの商品。

これは…お煎餅？いえいえ、「たんきり飴」です。

たんきり飴を作っているのは、法然寺から電動アシスト自転車で約5分の場所にある「徳栄堂」。“たんきり”は“痰切り”のことで、その昔、風邪をこじらせて困っていた法然寺の住職が食べて、痰が切れたという逸話が残っているそう。確かに痰が切れそうな、ショウガの風味がピリッと効いているわ～。

150年以上続く伝統の製法を守る4代目・徳田さんにインタビュー！

「お煎餅のような平たい形をしているのは、“噛んで食べる”飴やけん。いっぺん食べてみまい」

大豆とゴマ、ショウガの入ったパリパリとした独特の食感で、やさしい甘みとショウガのアクセントがクセになりそう。徳栄堂では1週間前までに予約をすれば、たんきり飴作りを体験できるとのこと。やわらかい飴を成形していく作業は楽しいそうですよ！

「コチラもうまげよ～」とおすすめしてくれたのが…

徳川公の御紋の入った「松平公かすてら」。一つひとつ丁寧に焼き上げられた卵感たっぷりなカステラで、お城の形をした方には小豆が入っています。　

葵の御紋と居城であった玉藻城の焼型を見せていただきました！おおっ、時代劇でおなじみの葵の御紋です。

和菓子だけでなく、生どらなどの洋菓子も作っていて、こちらは若い人たちにも大人気。たっぷり入った生クリームがぜいたくで、とっても幸せな気持ちになれます。

その他、どーなつなどの出来たてのお菓子も販売。手作りならではのやさしいおいしさで、仏生山のお土産にぴったりです！

自然とグルメの憩いの場「仏生山の森」でほっとひと息

徳栄堂から平池（へいけ）のあぜをぐるっと回り、ことでん仏生山駅方面へ。徳栄堂から電動アシスト自転車で約10分走ると、「仏生山の森」があります。

仏生山の森は、自然の営みに寄り添って造られたガーデンがとても美しいスポット。土地の気候や土壌にあった作物を育てるファーム、季節の野菜や果物を使ったレストランやカフェもあり、訪れた人が自然体でくつろぐことができます。

半屋外のオープンスペースに「BBQ焚き火テラス」があり、こちらは少人数から受付OK の本格炭火バーベキューが楽しめるアウトドアレストラン。ガーデンを眺められる居心地の良いソファ席で、気持ちのいい風を感じながらのバーベキューもいいですね。

ふっくらジューシー、肉汁したたるハンバーグ「窯焼きバーグ 五十八」

「窯焼きバーグ 五十八（いそや）」は薪窯で焼き上げる手ごねハンバーグのお店。注文を受けてから丁寧に焼き上げるハンバーグはふっくらジューシーで、ソースやトッピングのバリエーションも充実しており、選ぶのも楽しい！ 

「自家製オニオンソースハンバーグ」「ガーリックソースハンバーグ」などメニューも多彩！

ナイフを入れたとき、あふれる肉汁がスゴいんですよ…。ファームやガーデンで育てられた新鮮野菜やハーブを使ったサラダも絶品です！

地元の果物やファームで採れたハチミツがたっぷり！「おかしの時間」

「おかしの時間」は香川産の素材や自家農園で採れる果物、ハチミツ、ハーブなどにこだわったパンケーキとチーズケーキのお店。チーズケーキはチーズの風味が濃厚で、満足感たっぷり。さっそく「アールグレイとオレンジのチーズケーキ」と「和三盆カフェオレ」をいただきました！

季節またはその日で変わる「パティシエの気まぐれケーキ」も要チェックですよ！

お店で完熟させたバナナを使った「完熟バナナジュース」など、ドリンクもひと工夫されたものばかり。他にも「仏生山ガーデンハーブソーダ」をはじめ、カモミールハーブティー、クラフトコーラなど気になるメニューがいっぱいです。

「100年続く自然」をテーマにした「仏生山の森 ガーデン」

食後はガーデンの散策を（観賞券が必要です）。訪れたのは12月でしたが、花が元気に咲いていました。

“つくること”を楽しんでいる仏生山の森。ガーデンのあちこちで草木のお世話をするスタッフさんの姿が見られました。「イングリッシュガーデンをお手本に、さまざまな品種の草木を集めています。ぜひ緑が美しい春にもお越しください」とのこと。「一番の見どころは、5月に見頃を迎えるバラです」と教えていただきました。

それがコチラ！

バラのアーチ！外国映画の登場人物になったような気分に浸れそうで、インスタ映えも間違いナシ♪

「仏生山の森」を育てていく匠の声

高松市街地から車で約20分の距離と近いのに、こんなに自然がいっぱいの仏生山。深呼吸すると空気もおいしい！

なんと、ファームでは養蜂もしているんですよ。園内のお店には自家製ハチミツを使ったメニューや商品もあります。自然の営みに寄り添って咲かせた花からハチさんたちが一生懸命集めたハチミツ、ぜひ味わってみたいですね。

ここで収穫された野菜も園内のレストランやカフェへ。「大地の恵みの味がする」とは、まさにコノコト！

豊かな自然に囲まれて過ごす心地よさ、自然の美しさやそこから得られる恵み、自然との調和や共存の大切さまで体験できる「仏生山の森」。その立ち上げメンバーの一人である新宮さんに「仏生山」という町への思いを聞かせていただきました。

仏生山の森は、農業の匠、庭の匠、食の匠といった、それぞれの分野のスペシャリストである6人の匠が関わっています。もともと香川県農業試験場だった広大な敷地に木々を植え、それが「100年経てば森になる」というのがコンセプトです。

仏生山は都会から離れているし、目玉となる大型観光施設もありませんが、逆にその長閑な田園風景がいいところでもあります。四季折々に姿を変えるガーデンの植物たちに癒やされたり、レストランで地元の食材を使ったおいしいものを食べたり、カフェでゆっくりおしゃべりしたり、家族や友人とバーベキューを楽しんだり。

「仏生山の森に行けば何か楽しいことがある」「ちょっと時間あるから行ってみようか」みたいに、仏生山の森を自然に人が集まる場所にしたい。訪れるみんなが自然体でくつろげる場所にしたい。そして仏生山のまちにもちょっと足を伸ばしてもらえるきっかけになりたいと思っています。

まとめ｜仏生山を自転車でゆるっと観光&グルメも満喫

電動アシスト自転車でゆるっと巡った「仏生山」。前編だけでは紹介しきれなかったスポットはまだまだあります！後編では、自転車で巡る途中に発見した、その他のおすすめスポットをご紹介します。お楽しみに♪

【後編】香川の仏生山でゆるっと旅 はこちら！