愛でたいSTORY

高知・梼原町の隈研吾建築をご紹介。日本が誇る建築技術と自然美を堪能しよう

高知県の梼原町は、愛媛県との県境に位置する静かな山間の町です。高知市や松山市から車で約1時間45分走ると、梼原町の豊かな自然が目の前に。この町には、著名な建築家・隈研吾氏が手がけた5つの美しい建物が点在しています。隈氏は国立競技場をはじめとする数々の名建築を生み出し、日本の建築技術を世界に知らしめてきました。今回は、梼原町の自然と調和した建築物の魅力と楽しみ方をご紹介します。

梼原町の玄関!町民の憩いの場にもなっている「梼原町総合庁舎」

梼原町総合庁舎の外観 
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

「梼原町総合庁舎」は、町のシンボルとして親しまれている施設。隈氏と慶応義塾大学の共同プロジェクトによって生み出されました。地域の防災拠点としての機能や住民の利便性を考慮した設計が特徴です。

梼原町総合庁舎の館内 
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

この庁舎には、梼原町産のスギ材がふんだんに使用されており、温かみのある空間が広がっています。

館内には、「茶堂」と呼ばれる旅人をもてなすスペースも。「茶堂」とは、梼原町に古くから残るおもてなしの場のことで、伝統を大切にしたいという隈氏の想いが垣間見えます。

ここでは、リラックスしながら梼原町の文化に触れることができます。茶堂でお茶を楽しんだり、建物の美しいデザインを眺めたりするのもいいですね。地元の人と交流できるイベントやワークショップも定期的に開催されているので要チェック!

梼原町の森の中に溶け込む「雲の上のギャラリー」

雲の上のギャラリーの外観
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

「雲の上のギャラリー」は、雲の上のホテルと温泉を結ぶための渡り廊下棟、ギャラリー棟、ブリッジ棟から成るユニークな建築物です。梼原町の美しい森の中にひっそりとたたずむこの施設は、まるで自然と一体化しているかのような神秘的な雰囲気が魅力。

日本の伝統的な工法である斗栱(ときょう)を用いて木材を重ね合わせた造りになっており、その巧妙さに驚かされます。

雲の上のギャラリーの内観
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

ブリッジ棟の繊細な構造は木漏れ日のような光と影を生み出し、訪れる人々に心地よい安らぎを与えてくれます。

建物内を散策しながら四季折々の風景を眺めたり、ギャラリーで開催されるアート展示を楽しんだりと、静かな森の中で心をリフレッシュさせるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

雲の上のギャラリー

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宿泊に、町の特産品の購入もできる!まちの駅「ゆすはら」

まちの駅ゆすはらの外観
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

まちの駅「ゆすはら」は、地元の特産品を販売するコーナーと、宿泊施設が一体となった施設です。

一際目を引く外壁に使われているのは、茅(かや)。これは、隈氏が梼原町の伝統的な茅葺(かやぶき)屋根からインスパイアを受けて採用したもので、個性的なデザインの中に職人の技が光ります。

通気性と断熱性に優れたこの建物は、自然の力を生かした快適な空間を提供しています。

まちの駅ゆすはらの特産品販売コーナー
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

1階には、梼原町の特産品がずらりと並び、どれを選ぼうか迷ってしまうほど!中でも特におすすめなのが「雲の上スイーツ」。フィナンシェは、土佐茶やゆずフレーバーなど、地元ならではの味を楽しめる逸品です。

2階から上は「雲の上のホテル別館 マルシェ・ユスハラ」として、快適な客室が用意されています。シングルルームは22平方メートルと広く、シモンズ製ベッドでゆったりと過ごせます。宿泊者には、雲の上の温泉に滞在中いつでも入浴できる特典があり、温泉までの無料送迎サービスも利用可能!

休憩やお土産選び、宿泊にぜひ訪れてみてくださいね。

まちの駅「ゆすはら」

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町内の福祉施設の中枢を担う「YURURIゆすはら」

YURURIゆすはらの外観
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

「YURURIゆすはら」は、梼原町の複合福祉施設。

梼原町の山並みを思わせる外観と高知の伝統を感じさせる内装が特徴です*。外壁に使われているのは地元のスギ板で、町になじむ自然素材が安心感を与えてくれます。内装にはオランダ出身の手すき和紙作家・ロギール氏による表情豊かな土佐和紙が活用されており、手仕事の美しさと温かみの両方が感じられるようになっています。

*一般の方が見学できるのは外観のみです。

YURURIゆすはらの外観
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

在宅支援と特別養護老人ホームの中間の機能を担いながら、地域の福祉を支える大切な場所。利用者が安心して過ごせるように、開放的で温かい雰囲気が漂っています。

町民が交流できるサロンスペースもあり、地域の人々にとっても親しみやすいスポットです。

YURURIゆすはら

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インスタ映えする空間で、時間を忘れて滞在できる「雲の上の図書館」

梼原町立図書館の外観
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

写真映えするとSNSなどで特に話題を集めているのが「梼原町立図書館」です。「雲の上の図書館」という愛称で町内外の人に愛されています。

館内は土足NGのため、靴は入り口で脱いで下駄箱へ。素足になることで、木のぬくもりを足先からも感じられます。

梼原町立図書館の内観
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

内装は梼原町の森林から着想を得ており、幹と枝を組み合わせたような天井と千枚田をイメージした床面が特徴的。その美しさは訪れた人が何時間でも滞在したくなるほど!

天井に使われている工法は、四叉菱格子(よんさひしごうし)と呼ばれ、その一本一本に荷重を分散させることで、耐震性にも優れています。

梼原町立図書館内に並ぶ本棚
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

木の香りやぬくもりを感じられる空間が、自然と本の世界へ導いてくれます。本を読むのが苦手な子どもたちでも、夢中になれるような魅力があります。

梼原町立図書館内で営業しているカフェほうきぐも
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

館内にはカフェコーナーもあり、本を読みながらおいしいコーヒーを楽しむことができます。リラックスした雰囲気の中で、心ゆくまで読書を楽しんでくださいね。

館内にはインスタ映えするスポットがたくさんあるので、写真を撮るのも忘れずに!

自然とアートが融合したこの図書館で、特別なひとときを過ごしてください。

梼原町立図書館

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隈研吾氏の木造建築の原点「ゆすはら座」

ゆすはら座の外観
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

「ゆすはら座」は梼原町の中心に位置する施設で、地域の文化を支える重要な場所。昔は公民館でしたが、移築を行い、現在は「芝居小屋」として多くの人に親しまれています。大正時代の和洋折衷様式を取り入れており、2階の桟敷席からはゆったりと舞台を楽しむことができます。

この由緒ある施設は、一度は取り壊しの危機に直面しました。しかし、高知県在住の一級建築士・小谷匡宏氏が、隈氏に梼原町を訪れてほしいと依頼したことで、運命が変わったのです。隈氏がゆすはら座を訪れた際、木組みの美しさに感銘を受け、彼の建築家としての人生において重要なターニングポイントとなったといわれています。

ゆすはら座の内観
【写真提供:一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会】

「ゆすはら座」では、現在も地域の伝統芸能のお披露目やイベントが開催されており、訪れる人々が大いに楽しめる体験が待っています。建物の美しい木組みをじっくり観察するのもおすすめです。

ゆすはら座

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まとめ

今回は、梼原町にある隈研吾氏が手がけた建物や、その原点となった木造建築の魅力と楽しみ方をご紹介しました。一般社団法人ゆすはら雲の上観光協会では、「隈研吾建築ガイドツアー」*も実施中!梼原町在住の「建築案内人」が、それぞれの誕生秘話や隈氏と梼原町の出会いなどについて、各所を巡りながら解説してくれます。

*2週間前までに予約が必要です。

豊かな自然と共生する独創的な隈研吾建築を、ぜひその目に焼き付けてくださいね。