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徳島の秘境・祖谷のかずら橋近くで味わうジビエ「奥祖谷鹿カレー」

山深い徳島県祖谷(いや)エリアのさらに奥深く、木々に包まれた静寂の中にひっそりと佇む「旅の宿 奥祖谷」。宿に併設された「谷口食堂」は、地域の魅力がぎゅっと詰まった食堂です。地元の人に愛される“秘境の食堂”でジビエカレーを味わう旅はいかが?名物グルメ「奥祖谷鹿カレー」をはじめ、食堂自慢のメニューをご紹介します。
目次
徳島県の秘境、祖谷のかずら橋のもっと奥地にある「谷口食堂」

四国のまんなか、徳島県と高知県の県境にあり、日本三大秘境の一つと言われる祖谷。深い渓谷と雄大な自然が魅力平家落人伝説や妖怪伝説が残る場所としても有名です。
普段なかなか足を踏み入れないような秘境だからこそ、今まで味わったことのない感動や味に出会えるチャンス。お店までの道のりにも、あちこちに秘境感あふれる景色が広がるのを見逃さないように!
JR大歩危駅からの目印はこれ!谷口食堂へのアクセス案内

冒険のはじまりは、「道の駅 大歩危」から。JR大歩危駅から車で約3分、祖谷に伝わる妖怪伝説を紹介するモチーフや展示が「秘境に来たな!」という気持ちを盛り上げてくれます。とはいえ、ここはまだ探検の入り口。お目当ての「谷口食堂」まで、ここからさらに奥へ車を進めていくことになるのです…。

「道の駅 大歩危」には、日本の有名な妖怪をモチーフにしたグッズがいっぱい!
大歩危のある徳島県三好市山城町西宇には妖怪・子児啼爺(こなきじじい)の伝説があるとか。怖〜い妖怪ですが、グッズになるとなんともカワイイ。見たことのない妖怪も並んでいるので、この機会に「推し妖怪」を見つけてみては。

「道の駅 大歩危」内は、妖怪一色!たくさんの妖怪に目を奪われて、思わず見入ってしまいます。あれ?時間を忘れそうになるのも、もしかしたら妖怪のしわざなのかも…!?

お目当ての「谷口食堂」は、ここから先にある有名な「祖谷のかずら橋」から、さらに奥にそびえる「剣山(つるぎさん)」までのちょうど中間に位置しています。
まずはひたすら、「祖谷のかずら橋」方面へ車を走らせましょう。舗装された道が多いとはいえ、少し狭い道もあるので離合にはご注意を。道の駅を過ぎると、コンビニはおろか休憩できるお店、公衆トイレも少ないので、お手洗いなどは必ず済ませておきましょうね…。
「祖谷のかずら橋」の看板が見えたら、第一関門突破です。そう、目的地はそのさらに先。目指すは、もう一つの秘境の橋「奥祖谷の二重かずら橋」「剣山」方面へ。 道中、窓の外に広がるのはほぼ山の緑。標識はありますが、なかなか辿りつかず、大丈夫かな…と不安になりつつも車を走らせていきます。

ふと山に目をやると、道路から見えるところにいくつもの滝が流れているのがわかります。次々と現れるありのままの自然の姿に、木々の隙間から妖怪がこちらを見ているような気分になったり…。
まだ道の途中なのについ足をとめてしまいたくなりますが、山の誘惑に負けないように目的地を目指しましょう。

「道の駅 大歩危」から、車で約35分。お店への最寄りの目印となる「東祖谷歴史民族資料館」が見えてきました。こちらでは古くから祖谷の暮らしを支えてきた生活道具などが展示されていますので、ちょっと寄ってみます!

かつての山間の暮らしを感じる展示は見応えたっぷり。最近は秘境の暮らしを体感しに来る欧米からの見学者も多いのだとか。一点一点から、昔の人たちの息遣いが聞こえてきそうな展示に目を奪われてしまいます。

この「東祖谷歴史民族資料館」の前の三叉路は、絶対に見落としてはいけないポイント。建物が見えたら、山裾の集落に向かう細い道へ入っていきます。この写真でいくと、道から左に向かいます。うっかりしていると通り過ぎてしまうのでご注意を。

細い街道を少し進み、左手に「旅の宿 奥祖谷」の看板が見えたら到着です。
「谷口食堂」という名前ですが、なんと、食堂と書かれた大きな看板はありません。地元の人には食堂の営業のほうが馴染み深いため問題はないようですが、はじめて来た人にはかなりの高難度。知る人ぞ知る秘境の食堂…それが谷口食堂なのです!
「谷口食堂」名物!徳島ジビエ 「奥祖谷鹿カレー」

食堂の一番人気の鹿カレーをいただきます!
ほろほろと柔らかくなるまで煮込まれた鹿肉が入った具材たっぷりの素朴なカレー。おすすめの「鹿カレープレート」は、さらに鹿肉のコロッケと鹿肉のカツが添えられている豪華版で、さまざまな料理になったジビエを堪能できます。
コロッケもカツも、鹿肉だと言われないとわからないほどの柔らかさで、ジビエでイメージしがちな独特の臭みもありません。

カレーとコロッケに使われているのは奥祖谷特産のじゃがいも「ごうしいも(ごうしゅいも)」。ねっとりと甘味のあるごうしいもは、煮込むほど固く締まるのが特徴で、じっくり煮込むカレーにもピッタリ。
ご飯にはプチプチとした食感が楽しい雑穀「やつまた」が入っています。まさに奥祖谷づくし!

お店では鹿カレーのほか、定食や丼などの定番メニューも並んでいて、昔ながらの食堂の雰囲気。ここ東祖谷では通年営業している食堂はたった2軒というだけあって、この界隈で暮らす人はもちろん、仕事やレジャーに訪れる人にとっても貴重な存在となっています。
毎日通う人も少なくないそうで、飽きないようにメニューは随時工夫を凝らしているのだとか。
徳島発ジビエブランド 「阿波地美栄(あわじびえ)」とは

徳島県では、山林の農作物に被害を与える鳥獣を捕獲し有効活用するため、「阿波地美栄」というブランド名でジビエ料理の普及と消費拡大に取り組んでいます。
捕獲から30分以内に食肉として適切に加工された新鮮な鹿肉は、脂肪も少なく滋味が詰まった味わいが特徴。ここ谷口食堂は阿波地美栄と県産の食材を使い、地域色豊かな料理を提供するお店「うまいよ!ジビエ料理店」としても認定されているんです!

谷口食堂では、鹿肉の加工品「鹿缶」や、カレーのご飯にも使用されている「やつまた」も販売しています。やつまたとは東祖谷の固有種でイネ科の植物であり、和名「シコクビエ」と呼ばれる雑穀の一種です。穂が8つの又に分かれている姿からその名前がついたとされています。栄養価が高く、「幻の雑穀」とも称されているのだとか。
谷口食堂の魅力|祖谷の暮らしを支えるご当地グルメ

谷口食堂は現在で4代目。かつてこの場所は大正時代から続く歴史ある商店だったそう。その後大衆食堂をスタートさせ、約66年が過ぎました。今では食堂のほか、宿も併設し宿泊客も迎え入れるようになりました。
食事ができるお店がほとんどないこの地域では、町の病院のお医者さんや警察官もお昼を食べに訪れることがしばしば。デイサービス終わりに持って帰るお弁当の注文を受けることもあるそうで、さまざまな世代が生きる地域の生活に、欠かせない場所であることがわかります。

食堂を切り盛りする谷口さん。「鹿カレーのほか、特産品の岩豆腐もおすすめです!」とのこと。
実は鹿カレープレートについていたコロッケにも「岩豆腐」のおからが入っています。普通の豆腐よりも固めでしっかりとした食感の「岩豆腐」は、地元に愛される味の一つ。地元の味を生かした料理を提供し続けることで、この土地で生まれるぬくもりと笑顔を伝え継いでいるようにも見えました。
秘境感たっぷり「奥祖谷」

食堂に行く前後にぜひ足を伸ばして立ち寄ってみてほしいのが「奥祖谷二重かずら橋」。「道の駅 大歩危」から車で20分ほどの場所にある「祖谷のかずら橋」は有名ですが、この「奥祖谷二重かずら橋」はさらに山深くにあり、自然がいっぱいで、秘境感満載!

森の中は静かで、聞こえるのは川のせせらぎと風の音。ひんやりとした空気が満ちていて、日常のストレスを洗い流してくれそうな気持ちになれます。



「奥祖谷二重かずら橋」では、男橋、女橋の2つが並んで架かっているのが見られ、実際に渡ることもできます。かごに乗って川を渡る「野猿」は現在休止中。かずらと木で編まれた大きな橋を渡るロケーションは、スリル満点!
そして、どの角度からも絵になる一枚が撮れるはず。奥祖谷の緑のグラデーションは本当に美しく映るので、写真だけでなくぜひ動画でも残しておきたいスポットです。

もう1カ所、不思議な写真スポットもご紹介。「奥祖谷二重かずら橋」から車で5分ほどにある「天空の村 かかしの里」では、たくさんの村人が迎えてくれるのですが…なんだか様子がおかしい!?
それもそのはず、なんとこの村人の皆さん、「かかし」なんです!背格好も、着ている服も、まるで今にも動き出しそうなほどリアルな人そのもの。とっても静かな場所なのに、撮った写真からは村人たちの話し声が聞こえてきそう。不思議なシチュエーションに、どこで撮ったの!?と聞かれること間違いなしです。

農作業をしているおばあちゃん…も、なんと「かかし」。背格好も、そのポーズも、本当にかかしとは思えないリアルさです。今にも動き出しそうな姿と一緒に、「かかし」の世界に入り込んでの一枚をぜひ撮影してみてください!
まとめ|徳島の秘境、祖谷の「谷口食堂」で絶品ご当地グルメに出会う

看板もなく、素朴で、親しみやすさが店内にあふれる「谷口食堂」。料理の一つひとつに地域の人や地域の自然を思いやる気持ちが込められていて、食べる人に元気を与えてくれます。
観光名所だけでは味わえない、地域のありのままの姿を垣間見られるのも、秘境の旅の醍醐味かもしれません。ドキドキした冒険の先にある、じんわり沁みるまごころのグルメ。ぜひ一度、味わいに行ってくださいね。
旅の宿 奧祖谷 有限会社谷口商店(谷口食堂)
- 徳島県三好市東祖谷京上161-3
- 0883-88-2045
- あり
- https://www.okuiya.jp/
*2025年9月4日時点の情報です。内容は変更となる場合がありますので、最新情報をご確認ください。