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猫の島 香川・佐柳島|フェリーで島唯一のゲストハウス&カフェへ

瀬戸内海に浮かぶ香川県多度津町の佐柳島(さなぎしま)は、“猫の島”として全国的に人気を集めるスポット。廃校をリノベーションしたゲストハウス「ネコノシマホステル」に滞在しながら、島に暮らす猫たちとたわむれ、ゆったりとした島時間を満喫できる旅をご紹介。島へのフェリーのアクセスやインスタ映えするスポット、ネコちゃんとの写真の撮り方も要チェックです!
目次
フェリーで1時間。猫の島・佐柳島へのアクセス

家と職場を往復する毎日、都会の暮らしは便利だけど、なんだか息がつまる。日常の喧騒を忘れて、のんびりとした時間に身を委ね、かわいい猫に癒やされたい…。
そんなあなたにおすすめの旅が、猫好きさんの心を掴んで離さない佐柳島。香川県多度津町沖に浮かぶ、塩飽(しわく)諸島に属する離島です。
2017年には旧佐柳小学校の木造校舎を活用したゲストハウス「ネコノシマホステル」と「喫茶ネコノシマ」がオープン。島唯一の飲食店&宿泊施設ができたことで、日帰りから滞在型観光へ。猫と思う存分たわむれ、ゆったり島時間を満喫できるようになりました。

多度津港から佐柳島へはフェリーで約1時間。多度津港から佐柳島(本浦港)へは1日4便で、うち2便は長崎港にも停泊します。
たっぷり観光を楽しみたいなら、9時5分発の本浦港行きがおすすめです。
フェリーには車や原付、自転車も載せられますが、島は狭い道が多いので徒歩移動が安心です。ただ、「ネコノシマホステル」までは本浦港、長崎港のどちらからも徒歩15分ほどかかるので、歩きやすい靴がマスト!

フェリーには空調の効いた客席があり、靴を脱いで足を伸ばせるコーナーもあります。
ゆったり気分で窓辺に座り、海景色を眺めながら、いよいよ佐柳島へ。

多度津港
- 香川県仲多度郡多度津町東浜13-4(たどつ汽船株式会社)
- 0877-32-2528(たどつ汽船株式会社)
- なし
- https://tadotsu-kisen.jp/(たどつ汽船株式会社)
猫が飛ぶ!?猫の島・佐柳島で SNS映え写真を撮ろう

多度津港の14.8kmの沖合に浮かぶ佐柳島。
周囲約6.6kmの小さな島に、現在は約50人の島民が暮らしています。
港に降り立つと…

早速、島猫たちが!
島には約100匹の猫が暮らしており、島のみなさんがお世話をしています。
わーっと寄ってくるわけではなく、こちらをうかがいながらゆっくりと近づいてくる感じが、なんだかかわいい。

待合所には猫とふれあう際のマナーが記されているので、チェックしてから散策へと繰り出しましょう!

本浦地区と長崎地区、それぞれに猫が暮らしていて、道を歩いているとひょっこり出てきてくれるのがたまらなくかわいいのです。
ちなみに散策できるのは島の西側。東側にはもともと道がなく、西側に位置する本浦のお墓から長崎のお墓(香川県の有形民俗文化財指定)までの一本道のみです。

若手ニャンコは元気いっぱい!
猫同士でじゃれあう姿もシャッターチャンスです。

堤防に、猫が佇んでいるのを発見!
この景色は、あの有名な猫ジャンプの場所です。
堤防の切れ間をジャンプする猫が見たい…。だけど無理に抱き上げるのは厳禁です。持参した猫じゃらしやエサを使って、巧みに誘導してみます。
ただし、エサは残さないように、ちゃんと掃除をして帰るのが鉄則!

お、いい感じ♪
堤防に上るのが難しい子もいるので無理は禁物ですが、運よく上がってくれた子に感謝しつつ、ジャンプの瞬間を待ちます。

こっちだよ〜!エサを見せると、次の瞬間…


華麗にジャンプ!
海を背景に、ベストショットです!

ここで、よんでん編集部からネコちゃん撮影のコツを伝授!
少し姿勢を屈め、猫の目線から撮影すると、より臨場感のある写真になりますよ。横からもよし、前から飛んでくる姿を立体的にとらえるもよし!ぜひ、映え写真撮影に挑戦してくださいね。

ふれあいを楽しみながら、海沿いの道や集落をのんびり歩いて「ネコノシマホステル」へと向かいます。

佐柳島の拠点はここ!廃校リノベ宿「ネコノシマホステル」

「ネコノシマホステル」は本浦港と長崎港のちょうど中間地点にあり、佐柳島観光の拠点として便利なスポットです。
1954(昭和29)年に建てられた小学校の木造校舎をリノベーションしたノスタルジックな佇まいがステキ♪

こちらは宿泊ゲスト専用の通路。宿泊棟からスムーズに外へ出られます。通路を抜ければオーシャンビューが現れる。海と空の青に、瀬戸内の多島美。ここがまたSNS映えスポットなのです!

客室は、当時の学校の面影を残した4つのコンセプトルーム。それぞれ資料室、図工室、図書室、理科室と名付けられています。

こちらは図書室。1名から最大4名まで利用できます。当時のままの黒板も懐かしい!室内には書棚もあり、かつて小学校で使われていた図書が飾られています。

こんな写真だって撮れちゃいます(ただし、黒板に実際に書くことはできません…!)。

窓の外には穏やかな瀬戸内海。客室はすべて東側に面しており、大きな窓から気持ちのいい朝陽が注ぎます。時間の経過とともに表情を変える景色を楽しめるのも、お泊まりの醍醐味ですよね。

こちらのお部屋は資料室。かつて小学校で使われていた貴重な資料や、島の人からの寄贈品が展示されています。

客室の前の通路にも当時の面影を感じます。ここはオーナーの村上さんご夫妻がお世話をしている猫たちの憩いの場所でもあり、こちらの白黒猫の「いちじく」をはじめ、キュートな子たちが迎えてくれます。
この日の宿泊客の一人は、外のベンチに腰掛け、読書を楽しんでいました。猫と遊んだり、お散歩したり、海を眺めてぼーっとしたり、カフェでまったりしたり…。たまにはデジタルデトックス。時間に縛られず、思い思いに過ごすのもいいものですね。
ちなみに客室は猫の出入りNGとしており、人と猫の共有スペースは屋外のみ。このゾーニングが、お互いの心地よい距離感を生んでいます。
「ネコノシマホステル」オーナーご夫妻の佐柳島への思い

「ネコノシマホステル」を営む村上淳一さん、直子さんご夫妻は共に大阪出身。ですが、淳一さんのお父様が佐柳島の出身で、淳一さん自身も子どもの頃はお盆などに帰省していた思い出のある島だったのです。
お祖父様が亡くなってからは島へ帰る機会がありませんでしたが、きっかけは突然おとずれました。たまたま、佐柳島が猫の島として注目されているという情報を目にし、猫好きのご夫妻は「一度行ってみよう」と思い立ちます。淳一さんは20年ぶり、直子さんにとって初めての佐柳島訪問は、2016年6月のことでした。

「初めて島に来て、こんなに海が近いんだ…と驚きました」と直子さん。これまで島自体に縁のなかった直子さんは、そのロケーションにすっかり魅せられてしまったのです。
その日はあいにくの雨だったそうですが、たまたま雨宿りをしたのがこの木造校舎。まさに運命の出会いです。
散策をするなかで、「飲食店や宿泊施設があれば、もっとゆっくりできるのになぁ」と感じていた二人は、この古き良き佇まいを観光拠点として再利用できないか…と考えるように。

「まさか島に移住して商売をするとは想像していませんでした。ですが、祖父も島で床屋をしていたので、導かれたのかな」と淳一さん。
大阪へ戻ると、淳一さんはすぐさま再利用に向けた企画書を作成。それを多度津町の移住担当者へ見せたところ、あっという間に話が進み…、翌2017年3月に二人は島へ移住しました。
「なんといっても、多度津町の職員さんが全面的にバックアップしてくださったおかげです」とご夫妻。町を挙げてのプロジェクトになった「ネコノシマホステル」は、リノベーションを経て、2017年8月にオープンしました。

リノベーションにあたって二人が大切にしたのは、新しくするのではなく、もとの雰囲気を残し、伝えていくこと。
もちろん雨漏りや屋根などの補修は行いましたが、できる限り当時の素材を生かし、島の人々が懐かしみ、観光客もノスタルジーを感じる雰囲気づくりに努めたそう。
現在は生産されていないレトロな模様の入った昭和の型板ガラスを生かしたしつらえも味わい深いです。
喫茶ネコノシマ|ノスタルジーを感じる、まったり猫の島カフェタイム

「ネコノシマホステル」に併設された「喫茶ネコノシマ」。宿泊客ではなくても利用OKな島のオアシスです。チェックインより早めに着いても、こちらでゆっくりカフェやランチを楽しみながら過ごせます。

職員室をリノベーションした店内は、昔懐かしのアイテムがそこかしこに。

「島のみなさんが寄せてくださったものも大切に置かせていただいています」と直子さん。
島の人々に愛されている場所なんだと感じ、ほっこりしますよね。

ランチタイムのおすすめは、1日10食限定の「手作りチキンカレー」。淳一さんが試行錯誤を重ねて生み出した渾身のひと皿は、スパイスの香りと程よい辛みが食欲をそそります。

食後には、地元ゆかりのドリンクやスイーツを。

なかでもおすすめは、佐柳島へのフェリーを運航している三洋汽船が自家焙煎している「フナノリコーヒー」。水出しアイスコーヒーのまろやかな口当たり、鼻に抜けるやさしく芳醇な香りが好みすぎて、お土産に購入しちゃいました。
多度津町に本社を置く四国計測工業が、醸造設備を作るところから手掛けたクラフトビールもおすすめですよ。香川県産小原紅早生みかんや、多度津産いちじくを使用したビールが季節によって味わえます。

店内の至るところに猫アイテムがディスプレイされているので、見つけてみてくださいね。村上ご夫妻が全国各地を旅して迎えた招き猫コレクションもありますよ!

大阪で古書店を営んでいた淳一さんが選書した、猫にまつわる図書コーナー。
一年を通して佐柳島の猫たちの姿をとらえた写真集も必見です。一年に一冊、その年の写真集を作成されているそうで「あの子がこんなに大きくなったんだな、とか。今は亡くなってしまった子たちの在りし日の姿も見ることができて、うれしいんです」と直子さん。

カフェの店内で猫とふれあうことはできませんが、隣の部屋にいる猫が時折顔を出すことも!また窓越しに猫が来てくれるので、店内にいながら愛でることができます。
またネコノシマホステルに宿泊する人限定で、夕食とモーニングも提供しています。島には他に飲食店がないので、宿泊の人はぜひオーダーを。
まとめ|何もしない贅沢。癒やしの猫たちと過ごすスローな島時間

「ネコノシマホステル」ができてから、ゆっくりステイをして猫とふれあい、島時間をめいっぱい満喫する。そんな癒やしを求めて観光客がさらに増えています。東京・大阪をはじめ北は北海道から南は九州まで、今のところ沖縄以外のすべての都道府県からゲストが訪れているのだそう。

「佐柳島は、昔から猫と共存してきました。いろいろな猫の島に行かれた観光のお客様が『猫を見ていたら、普段、島の人がどんなふうに接しているのかわかりますよ』と言ってくださったこともあります 」と直子さんの言葉に納得です。島民に愛され、のびのびと育っている猫たち。だからこんなにも、私たちの心を癒やしてくれるのでしょう。

人と猫が仲良く暮らす島へ「お邪魔します」という気持ちで。日常にちょっと疲れたら、佐柳島へ。
そこにはのどかな景色と、猫たちと過ごすスローで豊かな島時間が待っています。

ネコノシマホステル/喫茶ネコノシマ
- 香川県仲多度郡多度津町佐柳1353
- 0877-35-3505
- あり
- https://neconoshima.jp/
- https://www.instagram.com/neconoshima_hostel/
*2025年9月11日時点の情報です。内容は変更となる場合がありますので、最新情報をご確認ください。