愛でたいSTORY

「雲の上」の癒やし空間へようこそ!自然と知性が織りなす「雲の上の図書館」

棚田をイメージした交流広場の本棚

高知県の北西部、雄大な四国カルストに抱かれる梼原町。町面積の91%を森林で覆われ、標高は最大1,455mにもなるこの町は、「雲の上の町」とも呼ばれています。

雲の上の図書館1階の交流広場

また、世界で最も隈研吾建築に触れられる町としても知られるこの地に、年間10万人もの人々が訪れる梼原町の新たなランドマークがあります。それが文化と交流の拠点「雲の上の図書館」です。

隈研吾が手掛ける「森の図書館」

国立競技場の設計でも知られる建築家の隈研吾氏が手掛けたこの図書館は、外観から内装に至るまで、梼原町産のスギや高知県産ヒノキがふんだんに使われています。背後の山並みを表現した屋根のデザインは、周囲の自然と調和しながらも洗練された雰囲気を醸し出しています。

五感で楽しむ、靴を脱いで入るくつろぎ空間

靴を脱いでの入館が特徴 木の温もりを直接感じることができる

一歩足を踏み入れるとまず驚かされるのは、靴を脱いで入館するというユニークなスタイル。実はこれ、当初の計画にはなかったそう。内覧会で町民から「木の温もりを直接感じたい」という声が上がり、このスタイルに変更されたのだとか。足裏から伝わる木の質感と温もり、ふわりと香る木と本の匂いが、リラックス感とワクワク感を掻き立てます。

まるで森の中にいるような独創的な天井が広がる

館内を見上げれば、無数の木材が複雑に組み合わされ、まるで森の中にいるような独創的な天井が広がります。自然光が木々の間を縫うように差し込み、時間とともに光と影が表情を変えていきます。

「本の森」を散策するような時間

階段にある本棚にも蔵書がずらりと並ぶ

「雲の上の図書館」には約5万〜6万冊もの蔵書があり、「いろは」順に分類された48ジャンルの本棚が並びます。図書館の中心となる「ゆすはら“いろは”ウォール」では、梼原から高知、四国、そして日本へと自然・歴史・文化を辿る壮大な本棚となっています。

「脱」コーナーに「脱炭素」「脱サラ」などユニークな本が並ぶ

なかには、坂本龍馬の脱藩にちなんだ「脱」コーナーもあり、「脱炭素」「脱サラ」「脱出」「脱毛」といったユニークなタイトルが並びます。

多彩なジャンルの本が揃うライブラリーエリア

また、2階のライブラリーエリアは、自然や芸術、文化など多彩なジャンルの本がそろい、まるで本の森を散策しているような没入感を味わえます。思わず手に取ってしまうラインナップに、読書の楽しさを再発見させてくれるでしょう。

海洋堂とのコラボジオラマ

「ゆすはら“いろは”ウォール」やライブラリーエリアには、日本のフィギュア文化を創り出した「海洋堂」とのコラボジオラマも置かれています。

海洋堂とのコラボジオラマ

それぞれのエリアのテーマに沿った世界観が展開されていて、ジオラマに込められた思いや仕掛けを読み解くのも楽しみの一つです。

自由に過ごせる「雲の上の図書館」の魅力

カフェコーナーの前にある日当たりの良い空間

一般的な図書館は私語厳禁、飲食禁止というところが多いですが、この図書館では「してはいけない」よりも「できる」を重視。1階では飲食やおしゃべり、建物の撮影はOK!階段に腰掛けたり、寝転がったり、訪れる人々は思い思いのスタイルで自由に過ごしています。

館内に併設されたカフェほうきぐも

また、チーズケーキがおいしい「カフェ ほうきぐも」も併設されているので、コーヒー片手に本の世界に浸ることもできます。

コミュニケーションラウンジ

館内にはさまざまなエリアが用意されています。ゆったりと座れるソファで語り合える「コミュニケーションラウンジ」や、一人で集中したい方にはサイレントゾーンの「閲覧コーナー」がおすすめ。司書さんのイチオシは2階エレベーター脇にひっそりと置かれたソファ席。その時々の気分で、お気に入りの場所を選んでみてください。

アクティビティも充実!ボルダリングで体を動かそう

ボルダリングコーナー

さらに驚きは、図書館内に併設されているボルダリングコーナー!「本と体を動かすことは気分転換にもなっていい」という考えから生まれたもので、小学生以上であれば利用申込と誓約書を提出すれば無料で利用できます(1人15分)。

地域と共に成長する「有機体」としての図書館

1階の交流広場

「雲の上の図書館」は高知県民と愛媛県民は利用者登録をすれば本の貸し出しも可能で、閲覧は誰でも自由にできます。また、ワークショップや映画会などのイベントも定期的に開催。町内のカフェや飲食店を講師に招くなど、地域の特色を活かしたプログラムが充実しています。

来館者などに募集して集まったらくがきやメモを展示したゆる作品展(現在は終了しています)

司書の片岡さんは「図書館は成長する有機体。町民の声を聞き、スタッフでアイデアを出し合いながら成長し、地元の方にも観光の方にも愛さる場所であり続けたい」と語ります。

まとめ|一日中楽しめる!訪れるたびに新しい発見に出会える場所

2階にも蔵書がずらり

「雲の上の図書館」は、本との出会いを通じて新しい発見をもたらしてくれる特別な場所です。

2階へと上がる階段

木の温もりに包まれた空間で心ゆくまで読書にふけったり、ボルダリングでリフレッシュしたり、カフェでおいしいコーヒーとケーキに満たされたり、時にはイベントで地域の人と交流したり。忙しい日常から少し離れ、ゆったりとした時間を過ごしてみませんか?

梼原町立図書館(雲の上の図書館)

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*2025年9月18日時点の情報です。内容は変更となる場合がありますので、最新情報をご確認ください。

隈研吾建築をもっと楽しみたい方はこちらの記事もチェック!

隈研吾建築については、四国電力広報誌「ライト&ライフ」でもご紹介しています。 https://www.yonden.co.jp/cnt_landl/2108/special.html

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