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奥深い徳島の食文化!麺王国・徳島ならではのご当地麺5選
徳島県の麺の代表格は徳島ラーメンですが、他にも知られざるご当地麺があるのはご存知でしょうか?ソウルフードから名産品まで、ディープな徳島の麺の世界をご紹介します。
目次
徳島の優し過ぎる細麺「鳴ちゅる」
お隣の香川県は「讃岐うどん」で全国的に有名ですが、徳島県にもこの土地ならではのうどんがあります。徳島県鳴門市のソウルフードである「鳴門うどん」は、細め・短めで不ぞろいのやわらかい麺が特徴。麺の薄いところや厚いところで違った食感が楽しめます。
藩政時代から昭和後期まで、鳴門市には広大な塩田地帯が広がっていました。当時、塩田で重労働をこなしていた労働者たち向けに、やわらかく食べやすい食事として提供されたのが「鳴門うどん」の始まりといわれています。そして近年、徳島県の写真家・中野晃治氏が「鳴(なる)ちゅる」と命名して以来、この名前で親しまれています。
黄金色のだしは煮干しやかつお節ベースのあっさりしょうゆ味で、“ちゅるちゅる”といくらでも食べられそうな優しい味わい。具は刻み揚げとネギが基本ですが、お店によっては鳴門特産のワカメやちくわをトッピングできます。
鳴ちゅる
- 徳島県鳴門市
- 088-685-3748(鳴門うどん研究会/鳴門商工会議所内)
- なし
- https://www.narutocci.or.jp/narucyuru/(鳴門うどん研究会)
- https://www.instagram.com/narucyuru_official_insta/(鳴門うどん研究会)
200年の伝統の技が光る「半田そうめん」
徳島県つるぎ町半田地区で作られている、やや太めでコシの強い麺が特徴の「半田そうめん」。
麺の太さで区分する日本農林規格(JAS)では、そうめんより太くうどんより細い「ひやむぎ」に分類されるのですが、江戸時代より続く伝統と麺文化の地域性が認められ、特別に「そうめん」と表記できることとなっています。四国山地から吹き下ろす冷たい山風と吉野川の澄んだ水、良質な小麦から作るという伝統の製法を守っています。
半田そうめんの始まりには諸説ありますが、江戸時代中期の藩政時代、徳島の城下町から麻植(おえ)・美馬そして上流の三好地方へ物資を運搬する捨石船の船頭衆たちの手によって、三輪(岐阜)の方から淡路、そして鳴門を経て半田の里にその秘法が伝えられたといわれています。
現在、つるぎ町半田には多数の製麺所があります。場所によっては300m近い標高差が生じるため、各製麺所により塩加減や水加減、熟成時間、乾燥時間などが微妙に異なります。小麦の種類・配合、塩にもそれぞれこだわりを持っているため、出来上がった手延べそうめんには製麺所独自の味わいが出ており、食べ比べてみるのも半田そうめんの楽しみ方の一つです。
半田そうめん
- 徳島県美馬郡つるぎ町
- 0883-64-3467(半田手延べそうめん協同組合)
- https://handasoumen-kumiai.jp/(半田手延べそうめん協同組合)
- https://www.instagram.com/handasoumen_kumiai/(半田手延べそうめん協同組合)
- https://www.facebook.com/handasoumenkumiai/(半田手延べそうめん協同組合)
麺で?雑炊で?楽しみ方2倍のご当地麺「祖谷そば」
「祖谷そば」は、そばの名産地・徳島県三好市のそば粉を使って作る祖谷地方のソウルフード。つなぎをほとんど使用しておらず、麺が切れて短くなるので「そばきり」とも呼ばれます。
この地方のそば栽培は、源平合戦に敗れた平家が祖谷に逃れてきた際に始めたことがきっかけといわれています。祖谷は米が育ちにくい地域であり、育ちやすくて栽培期間も短いそばが主食として親しまれるようになりました。一方、つなぎとして使う小麦の生産には向いていなかったため、そば粉を多く使った太くて短めの麺が特徴となったのです。
そば粉をこねる際に加える水やだしには祖谷の水を使っています。ゆでたそばに温かいだしをかけ、油揚げやかまぼこ、ネギをトッピング。祖谷で採れた山菜を加えることもあります。
他にも、お米の代わりにそばの実をそのまま使う「そば米雑炊」もあります。野菜や鶏肉、山菜などと一緒にそばの実を煮込んだヘルシーな郷土料理です。
祖谷そば
- 徳島県三好市
- 0883-76-0877(三好市観光協会)
- https://miyoshi-tourism.jp/(三好市観光協会)
- https://www.instagram.com/miyoshi_kankou/(三好市観光協会)
みんなで仲良く「たらいうどん」
「たらいうどん」は徳島県阿波市土成町の郷土料理で、ハレの日のごちそうとされてきた徳島のご当地麺。大きな「たらい」にゆでたうどんが入れられており、それを個々のつけ汁に取っていただきます。かつては山仕事を終えた人々がみんなで大きなたらいを囲んで食べていたといわれています。
現在たらいうどんが食べられるお店は、土成町の宮川内谷川という渓谷沿いの山道に集中して立ち並んでいます。多くの店舗では、流れる川や滝など素晴らしい景色を眺めながらうどんを食べることができます。中には、うどんがゆで上がるまでの待ち時間に川遊びや釣りができるお店も。
つけ汁も昔ながらの「じんぞく」*で取っただし、いりこだし、溶き卵入りなど各店舗それぞれ工夫を凝らしており、異なった味わいを楽しめます。
*清流に生息するハゼの一種であるカワヨシノボリという川魚の地元での呼び名。
また、毎年「たらいうどんの日」である11月7日前後には、各店舗で割引サービスがあったりスタンプラリーが開催されたりする「御所のたらいうどんフェア」が行われていますので、要チェックですよ!
たらいうどん
- 徳島県阿波市
- 0883-35-4211(阿波市観光協会)
- https://www.awa-kankou.jp/(阿波市観光協会)
- https://www.instagram.com/awa_tourism/(阿波市観光協会)
四国・徳島ではおなじみのご当地麺「金ちゃんラーメン」
徳島のみならず、四国出身の人々にはおなじみの「金ちゃんラーメン」。
徳島市に本社を置く「徳島製粉株式会社」(以下:徳島製粉)のロングラン商品です。他社の即席麺とは一味違い、西日本を中心に販売しているため関東より東では入手しにくいといわれており、故郷を離れた四国出身の人たちはこの味を懐かしむといいます。徳島のお土産としても人気です。
金ちゃんラーメンの生みの親は、初代社長・田中殖一(ふいち)氏。創業当時、徳島製粉はその名の通り製粉業が中心で、自社ブランドの小麦粉「金鶴」を製造・販売していました(現在も製造)。
しかし、大手パン屋などの徳島進出の影響で小麦粉の売り上げが落ちたため、自社の小麦粉を使ったラーメン作りに着手。1965年に初の即席ラーメン「キンツルラーメン」を発売しましたが、同じ名前の他の商品があったため、「ナルトナミキンツルラーメン」に名称変更。さらに名前を変え、1967年に「金ちゃんラーメン」を発売しました。
1973年には、カップ麺の「金ちゃんヌードル」も発売。金ちゃんラーメンと同じコシのある歯切れの良い食感の麺に味付きのシイタケ・エビ・ネギ・豚肉・卵がのっており、今も変わらない味が親しまれています。
徳島のご当地麺まとめ
実は麺王国の徳島。いろいろな麺メニューがある上、お店によって味わいもさまざま。それぞれに歴史があり、地域の文化や暮らしも感じられる奥深き徳島麺の世界へ、ぜひ足を踏み入れてみてください!