愛でたいSTORY

一期一会のスペシャルカレーで文明開化へタイムトリップ!?/やをら

香川県高松市香南町の田園地帯にある『やをら』

ここは香川県高松市香南町にある田園地帯。周辺には田んぼや畑が広がるのみですが、その中にポツンとひとつの古民家があります。遠くから見るぶんには店舗という感じは一切しませんが、実はこちら、2024年にオープンしたカフェ『やをら』なのです。

明治維新の時代から、現代のカフェ『やをら』へ

『やをら』の駐車場入口

道沿いには看板らしきものは何もなく、「OPEN」とだけ書かれた立て札が。あやうく通り過ぎてしまうところでした。この門を通ると駐車場があるのですが、正面にある建物は店主のご自宅。肝心のお店の入口が見当たりません。

『やをら』の入口

少し迷いましたが、どうやら『やをら』の入口は自宅の右に連なっているこちらの扉のようです。ここで初めて瓦に書かれた店名を目にします。隠れ家的というか、こういった分かりづらいお店ってなぜかワクワクするのは私だけでしょうか?しかもこの建物、なんと明治元年の建築物なんだとか。余計にワクワク!

明治元年に建てられた納屋がカフェに変身

納屋を改装した『やをら』の店内

歴史を感じる木製の引き戸を開いて中に入ると、本当にお店がありました!元々は古民家の納屋だったようで、床はコンクリートで打ち直し、壁は新しく塗っていますが、柱や梁などはほぼそのまま。大工さんなど建築に詳しい人がこの建物を見ると、古い建材や建築技法にとても驚かれるそうです。

店内に残された落書き

店内には100年近く前のものと思われる落書きも残されています。いろいろ書かれていますが、特に『へのへのもへじ』が明治時代の落書きって感じがして、とってもエモいです。こういうものを見ているだけでロマンを感じますね!

見逃せば二度と食べられない!?月替わりのスペシャルカレー

月替わりのスパイスカレー

『やをら』ではランチ営業を行っていて、メニューは基本的に『スパイスカレー』と『やをら定食』の2種類。いずれも月替わりのレシピで提供されています。もちろん定食もいいですが、特におすすめしたいのがスパイスカレーです。取材時(2025年8月)の月替わりスパイスカレーは『レモンココナッツチキン』。しっかりレモン感があって、とっても爽やか。暑い夏にぴったりのカレーでした。

店主の独創性が発揮される月替りスパイスカレー

月替わりのスパイスカレーはいつも店主の岡本さんが月末に翌月のレシピを考えているのだそう。月末になるとお店の公式Instagramに翌月のカレーがアップされていますが、毎回全く異なる独創的なカレーばかり。“今月のカレー”を逃せば、それは二度と食べられないかもしれません。この記事が公開される頃にはもう食べられませんが、『レモンココナッツチキン』は固定メニューにしてほしいほどに美味でした。
そもそも、カレーとは文明開化期に海外から日本に入ってきた料理。明治元年に建築されたこの場所でカレーをいただくだけで、壮大な歴史ロマンを感じます。

スパイスカレーにぴったりなドリンク&スイーツ

アイスチャイ

8月の『レモンココナッツチキン』はスパイスカレーとはいうものの、スパイス(辛さ)はかなり控えめで、子どもでも食べられるカレーでした。でも、月によってはとっても辛いカレーになることもあるのだとか。そんなときにカレーと一緒に注文してほしいドリンクが『アイスチャイ』です。インドの甘いミルクティーであるチャイがカレーの刺激を和らげてくれます。

ほうじ茶プリン

食後にはいくつかのデザートが用意されていますが、今回は一番人気の『ほうじ茶プリン』をいただきました。これもまたスパイスカレーを食べた後にはちょうどいい甘さです。

レトロ建築とスパイスカレーで、ゆっくり、ゆったり。

店主の岡本剛昇さんと岡本沙也佳さん

今回ご紹介した『やをら』を経営するのは、岡本剛昇さん岡本沙也佳さん夫妻。ランチメニューは剛昇さん、デザートは沙也佳さんが担当しています。人柄の良さが顔面から滲み出ているお二人ですが、料理人としての職人気質が素晴らしく、月替わりのメニューを求めて毎月のように来店する常連のファンもたくさんいるのだとか。剛昇さんが自分で納得できたメニューができたときのみ開催される予約制のモーニングも人気だそうです。
そして、『やをら』は、『ゆったり』とか『ゆっくり』といった意味だそうで、このお店でお客さんにゆっくりしていってほしいというお二人の想いが込められています。

「普通のカフェってあまり長居しすぎるとお店に嫌がられると思うんですが、うちは時間制限も設けていないですし、「どうぞ長居していってください」という感じで。開店時間の11時に来て、閉店の16時までいるお客さんもいますよ」

剛昇さんは『やをら』のスタイルをそう話します。

レトロなレジスター

確かに、店内は建物に合うようにレトロな置物や装飾で統一されていて、とっても居心地がよく、ついつい長居してしまいそう。レトロすぎて飾りかと思っていたレジも現役で活躍していました。

明治元年の建物とレトロなインテリア、そしてスパイスカレーで文明開化へタイムトリップ。あなたもそんな贅沢な時間をたっぷり楽しんでみてください。

やをら

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*2025年9月22日時点の情報です。内容は変更となる場合がありますので、最新情報をご確認ください。

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