愛でたいSTORY

【上勝町観光】ゼロ・ウェイストセンターで学ぶサステナブルライフ

上勝町ゼロ・ウェイストセンター全景
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

徳島県上勝町は、「葉っぱビジネス」で全国的に有名な町。料理に添えられる植物の栽培・出荷・販売を一貫して行う体制を町ぐるみで築き上げており、なんと年間売上が約1,000万円のおばあちゃんもいるんだとか…!

そんな上勝町は、2003年に日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った自治体でもあります。「ゼロ・ウェイスト」とは、無駄・ごみ・浪費をなくすという意味で、ごみを“生み出さない”社会を目指す考え方のこと。

今回は、SDGsの先進事例ともいえるこの町でのサステナブルな旅をご提案。活動のハブとなる拠点「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」のスタディツアーや体験、宿泊を通じて、楽しみながら理解を深めてみませんか?エコな暮らしのヒントがきっと見つかるはず!

「?」型の建物「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」に潜入…!

上空から見た上勝町ゼロ・ウェイストセンター
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」は、ホテルやゴミステーションなどがそろう複合施設。不思議なカーブを描く建物ですが、なんと上から見ると「?」マークをしているんです!

これは、「なぜそれを買うのか?」「なぜそれを捨てるのか?」「なぜそれを作るのか?」といったさまざまな問いを持ちながら生産者と消費者が学び合うことで、ごみのない社会を目指すというメッセージが込められています。

地元住民が不要になった窓ガラスを再利用して組み合わせた壁
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

遠くから見ても目立つ独特のデザインですが、近付いてみると…?窓はいろいろな模様のガラスが独自のテキスタイルを生み出してオシャレな雰囲気。この施設を建てる際、不要になった窓ガラスを町民から集めて再利用したものだそう。

収穫用キャリーで作られた本棚
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

建物の中に入るとこれは…?農業で使われる収穫用キャリーが壁一面に積み上げられていました。農道具は木材との親和性も高く、山間にある上勝町らしいデザイン。使わなくなったものたちはいわば「上勝町の人々の暮らしの一部だったもの」。それらを上手く組み合わせて“上勝デザイン”に生まれ変わらせています!

随所に散りばめられた環境にやさしい工夫がデザインとしても成立している空間。この建物自体が上勝町の目指すゼロ・ウェイストの精神を集約した存在といえます。

上勝町唯一のゴミステーション

ゴミステーションの様子
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

上勝町にはごみ収集車が走っていません。それは、町民が自らこのゴミステーションにごみを持ち込んでいるからなんです。分別はなんと13種類43分別。焼却・埋め立てごみをできるだけ減らすことを考えた結果なのだそう。そのおかげで、現在上勝町のリサイクル率は脅威の80%を誇ります。

ゴミステーションでは、どのような区分で分別に取り組んでいるのかを実際に見学したり、毎日16時30分には上勝町のゼロ・ウェイストの歴史について学ぶ施設案内ツアーに参加することができますよ。

誰かの不要が誰かの必要に変わる「くるくるショップ」

くるくるショップの内装
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

施設の一角には、家具や生活雑貨などがずらっと並ぶスペースがあります。その名も「くるくるショップ」。ここは、町民がまだ使えるけれどごみとして処分してしまうにはもったいないものを持ち込める*スペースです。誰でも持ち帰ることができるので、リユースの場として開放されています。床も割れた陶器を使ってカラフルでモダンな仕上がりとなっています。

持ち帰りたいものが見つかったらショップ内にある量りで計量して、ノートに「持ち帰るもの」「その重さ」「持ち帰る理由」を書き込みます。「ごみになるはずだったもの」がどれくらい「ごみ」にならなかったのかを記録することでリユースに貢献したことを実感できます。

誰かにとってはもう使わないものでも、他の誰かにとっては大切に使いたいものになるってとても素敵な考え方ですよね…!

*持ち込みは上勝町民のみ可能です。町外からの持ち込みはしないようにお願いいたします。

こんなところにも!?アイデアが散りばめられた空間デザイン

コミュニケーションライブラリーの様子
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

施設内には、誰でも使えるフリースペースが充実。コミュニケーションライブラリーでは、好きな席で本を読むことができます。

建具を再利用し、パッチワークのようにつないだ窓辺は、本来の役目を終えたものにアイデアを加えてアートに変えた上勝町の粋な心が感じられる注目ポイント。珍しいデザインは写真映えもばっちりです。

廃材をアップサイクルしたおもちゃがあるキッズスペース
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

お子さん連れにうれしいキッズスペースもあります。上勝町で回収された洗剤用の詰め替えパックをリサイクルして作ったブロックや、使われなくなった絵本、おもちゃなどが集められており、ゼロ・ウェイストを遊びを通じて伝えます。

施設の周りの広々とした芝生
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

また、ガーデンスペースでも遊ぶことができます。普段市街地で生活していると、なかなかこの広さの原っぱはありません…!山々に囲まれ、澄み切った空気を全身で感じられます。

ゼロ・ウェイストアクションホテル「HOTEL WHY」に泊まろう

HOTEL WHYの外観
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

上勝町のゼロ・ウェイストについて学んだら、次は実践!センター内に併設する宿泊体験施設のゼロ・ウェイストアクションホテル「HOTEL WHY」に泊まってみましょう。

HOTEL WHYのエントランス
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

エントランスは円状。そう、ここは「?」型の建物の丸部分!それぞれのお部屋につながるドアがずらり…。上は吹き抜けになっていて、空から直接光を取り込む構造でユニーク。非日常を感じるデザインに期待が高まります。

チェックインからはじまる、使い切るという体験

チェックイン時に滞在期間中に使う石鹸を自ら切り分ける
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

HOTEL WHYでは、チェックイン時に宿泊中に使う分だけの石鹸をその場で切り分けます。この体験は、大量生産・大量消費の現代社会の中で「本当に自分が必要としている量はどのくらいだろう?」と考えるきっかけになります。意外と1日に自分が使うだけの石鹸の量ってピンとこないですよね…?ささいなことではありますが、大きな気付きが得られますね。

歯ブラシなどの使い捨てアメニティの提供はなく、ごみ削減に自分自身も参加することができますよ。

「STUDY WHY」に参加して上勝町のストーリーに触れる

「STUDY WHY」は、スタッフさんが上勝町ゼロ・ウェイストセンターの施設紹介や、上勝町がこれまでに取り組んできたゼロ・ウェイストの取り組みについて解説してくれる約30分のツアーです。直接説明を受けることで、町全体の環境に対する意識の高さや、いかにして町全体が一丸となったかというストーリーを追って感じ取ることができます。

「WHY」の文字が入った作業着を着たスタッフさんたち
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

ちなみに、スタッフさんの作業着にも「WHY」の文字が…これぞ上勝マインド!

*宿泊される方はSTUDY WHYがセットに含まれています。宿泊されない方は別途予約が必要です。
*毎日16:30スタートのプログラムとなります。

アップサイクルで形づくられる“上勝デザイン”に泊まる

HOTEL WHYの内装
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

上勝町産木材の温かみが感じられる内装は、シンプルだけど至る所に廃材をアップサイクル*した工夫が施されており、ここにしかない上勝デザイン。

*アップサイクル…廃棄物に、デザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせて再利用すること。

浴室や洗面台の壁や床はくるくるショップで持ち帰りのなかった陶器が使われており、美しい風合いとなっています。

HOTEL WHYレイクサイドのウッドデッキ
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

客室はレイクサイドとマウンテンサイドから選ぶことができます。

レイクサイドは山々やダム湖を眺めることができ、上勝町の自然に囲まれて目覚めたい方におすすめ。ウッドデッキにはぜひ早朝に出て深呼吸してみてください。

マウンテンサイドは道路に面している分少しお得に泊まれるのがポイント。上勝町の人々の暮らしとつながっているような感覚に浸りたい方に良いかもしれませんね。

朝食は上勝町のブルワリー「RISE & WIN Brewing Co.」オリジナルメニュー

ブルワリー ・RISE & WIN Brewing Co.プロデュースの朝食
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

朝食は、上勝町内にあるブルワリー 「RISE & WIN Brewing Co.」がプロデュース。お弁当箱に入った具材をお好みでベーグルに挟んでいただきます!

ベーグルにお好みの具材を挟んでいただくスタイル
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

このオリジナルメニューにも上勝町ならではの工夫あり。クラフトビールの醸造後に出たココナッツを再利用したグラノーラやヨーグルト、ミネストローネスープがセットになっています。おいしいだけではなく、フードロスについても着目できる洗練されたメニューです。

RISE & WIN Brewing Co.の実店舗は、HOTEL WHYから車で約5分と近いので、併せてチェックしてみてくださいね。徳島県の新鮮な野菜を使ったグリル料理を本格的なクラフトビールと一緒に楽しむことができますよ♪

「ごみ分別体験」で地域の暮らしに自分を重ねる

希望者は、滞在中に出たごみを上勝町が編み出した方式にならって分別し、どのようにリサイクルされるかを見ることができる「ごみ分別体験」に参加することができます。これぞまさに“暮らすように旅する”を体現する体験です。

上勝町に暮らす人だけではなく、観光に訪れた人も体験することで自分の日常を見つめ直すことにつながりますね。

ゼロ・ウェイストアクションホテル “HOTEL WHY”

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まとめ|サステナブルな観光・学び旅は上勝町で!

ゼロ・ウェイストセンターの特徴的な壁
【写真提供:Transit General Office Inc.(株式会社トランジットジェネラルオフィス)】

上勝町での体験は、自然と調和して生きる人々の姿を見て、まねることで完成します。旅から日常に戻ったとき、自分自身に何ができるのか、どういったアクションに移せるのかを改めて考えるきっかけになりそうですね…!身も心もデトックスできる1日が過ごせますよ♪

家族での環境学習の機会としたり、心を充電するおこもりステイ・一人旅の拠点としたりするのにぴったりです。里山で暮らす人たちの豊かさを目の当たりにすると、「私にも何かできることはないか?」そう考えるきっかけを与えてもらったような感覚になります。

上勝町ゼロ・ウェイストセンター

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